週報20241109

ど萌5


 日常というのは、そもそも退屈なものである。毎日同じ時間に起き、毎日同じ場所に向かうことが、社会の基礎として織り込まれてしまっているのだろう。第二食堂で豚汁を飲み、近くのスーパーで20%引きの弁当を買うことが分かった上で迎える明日は、アニメのネタバレと同じだと思う。

 そう思ったから、大盛りのナポリタンを食べたのだ。その日はまだ暖かかった。

 自分を楽しませる唯一の方法は、外に出ることだ。この「外」とは、文字通り屋外という意味でもあるが、もっと言えば、想像力の外であることが大切だ。このように強調するのは、バーガーキングのせいだ。

 バーガーキングはうまい。アプリには200円引きのクーポンもあるし、無料で野菜を増量するオプションもある。流行りのダブルチーズバーガーよりクアトロチーズワッパーのほうが量も多くコスパもいいとなると、もはやなぜまだマクドナルドに客がいるのか不思議にすら思う。

 しかし、つまらない。おいしいから毎週末バーガーキングに行き、同じメニューを頼んでしまう。そうすると日常のスパイスだったはずのバーガーキングが、日常そのものになってしまう。これでは良くない。いつも変わらずうまいのはとても良いことのしるしなのであるが、非日常を楽しむという目的にはそぐわないのだ。

 その日は、バーガーキングに行くつもりで池袋に行った。偶然、近くにスパゲッティーのパンチョというナポリタン専門店があった。だから、入った。たったこれだけの話ではあるが、自分にとっては意味のある逸脱だった。「意識的に意識の外へ出る」ということのなんと難しいことか!

 リスクを取るより、つまらなくても安心したいという気持ちになることも多い。それでも、外に出たいものだ。


おわり